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偶然か、必然か旅の連れにはあの忌々しい大陸の国の騎士であるあの男も居た。戦時中に幾度と顔を合わせた間柄何かと揉め事も多く、よく他の面々に呆れられるが仕方が無いことだ。彼は森の同胞を幾人も殺めたし、また俺も彼の仲間である人間を幾人も殺めた。俺たちは抜け出せない憎しみの連鎖の中に組み込まれてしまった間柄だったのだ。 彼、フランスは一振りの剣を所持していた。諸刃の銀でできたブロードソード。彼がそれを振るい道を切り開いてきた様は昔から変わらず、川の水面を流れる木の葉のように、滑らかで洗練されていた。そんな彼の剣で少し前にちょっとした事件が起こった。事件と言うにはあまりにもちっぽけなことだったが、それらが俺たちに与えた衝撃は、小さくは無い。 「触るなッ!」 喉かな太陽の下に響いた怒声に、一向は身を硬くした。木陰の下で体を休め各々四方に意識を散らばせていた皆の視線が声の主のほうへ向けられる。俺も例外ではなく、道を聞こうと話しかけていた空に手を伸ばした大きな樹木から断りを入れて意識を外し、フランスの方へと振り返った。 普段はへらりと緩みきった表情を浮かべているフランスが、戦闘中でも無いのに酷く強張った表情を浮かべている。彼の海を燈した双眸が睨むのは、我々の行く先を塞ぐ敵ではなく、神の子を護衛する騎士のドイツの驚いた顔だった。 ドイツは慌てて何か謝った様子で、それを受けてかそれとも皆の視線に気づいてかフランスの表情がばつが悪そうなものへと移ろい、彼は申し訳無さそうにドイツに一言侘びの言葉を入れて立ち上がった。 「どちらに行かれるのですか?」 「ちょっと、顔洗ってくる」 ひとりだけ先程のやり取りに驚いた顔をせず、どこか達観した様子だった日本が離れていくフランスに声をかけるが、フランスは振り返ることなくそのまま木々の合間を縫って姿を消してしまった。 フランスの姿が見えなくなると、日本の隣で大人しくしていたヴェネチアーノがドイツへ「なにしたんだよ、ドイツ!」と詰め寄った。ヴェネチアーノの好奇心の見え隠れするが、大凡は叱っている色の強い瞳にドイツは困った顔をして「ただ…」と小さく呟きフランスの消えていった方へ向き直り、再度口を開いた。 「フランスの剣に触れただけだ。」 それだけ?とヴェネチアーノが大きな瞳にドイツの困った顔を映しながら首を傾げた。また、ドイツも不思議そうな顔をして浅く頷いた。 |