体が内側から抉られる感触
はじき出されそうな声を押し殺し、唇を深く噛み締める
双方の目は死んでいない。心だけは負けるつもりは無かった
たとえ、体をいいように蹂躙されたとしても、
簡単に言うと自分は犯されていた。赤の他人、あろうことかミルフォーレファミリーの輩にだ
ミスをした自分が悪い。殺されないだけましだ。おそらく自分の立場を考慮され情報を聞きだすつもりだったのだろう
ただ、自分が口を割るはずも無いので、彼らは無駄な労力を使い自分に痛みを突きつけただけであった
痺れを切らしたのか、数名の男のうちの一人がこんなことを言い出した
「死にたいと思うような地獄を見せてやる」
2つでも3つでもない手のひらが体の表面を滑る
自分とは違う体温に嫌悪しながら、じっと息を潜めた
抵抗すれば彼らは喜ぶ。それに余計な体力は使いたくなかった。いざというときのために温存しておきたかったのだ
不意に体の中で何度目かになる熱が弾かれ、その衝撃で自身の背中が撓る
内側の肉を引きながら、自分の中から他人が抜けていく
麻痺した脳に、鼓膜が嫌な水音を伝えたがそれももう何度目かなど数えては居なかった
ジンジンと下半身が痛みを覚え、体は彼らを拒絶する。しかし、一方で奥底から湧き上がる熱と快楽は止むこともなく体を蝕んでいった
先ほどまで満たされたそこに迎えた喪失感に体がブルリと震える
それを見てか、周りの男達がせせら笑う声がした
そしてその笑い声の中で一人男が自分の腰を掴んで、犯す。喪失感は満たされたが、心の中はどす黒く淀みを増した
心の中では彼らの息の根を止める算段を着実に練り上げていたが、その一方精神の深い深いところで“物足りない”なんて声が上がり、狼狽してしまう
体は正直だ、とよく言われるが本当にそうだな。と今日改めて実感した。こんな状況下でも感じている自分がいるし、自身も猛り頭を上へと向けていた
ある男がそれを強く握り締めたときは思わず声を上げそうになった。しかし、噛み締めた唇から赤い血を流し踏みとどまった自分を見て男は詰まらなさそうに乱暴な手つきでそれを揉む
心だけは負けるな。負けるな。
そう言い聞かせ口内に広がる鉄の味で我を保つ
噛み締めた唇を誰かが強引に外し、隙間の出来た唇に男の物を押し付ける。口でやれっと言われこの行為を強制されたのが何度目であるかも、もう忘れた
他の男の精液の味と血の味が混ざった口内に再びあの嫌な感触が
最初は噛み切ってやろうと思いっきり歯を立てた。おかげで最初の数名は痛みに悶絶しながら床に転がったが、我に戻ると酷く殴られ蹴られ痛く犯された。
今では顎をしっかりと固定され、口を閉じることもままならない。彼らは自分に舌を使えなどと命令したが自分は動かずただ睨み、拒絶するように眼を閉じていた。
殴っても蹴っても言うことの聞かない自分に痺れを切らした彼らは自身で腰を動かすことにしたらしい。口内を動き回るそれに吐き気がこみ上げてしょうがなかった
徐々に形を変えてゆくそれに終わりが近いことを悟りながら、じっと辛抱していると喉の奥に男の先端が突きつけられ、そこで熱が弾かれた
広がる男の味と臭いに戻しそうになるが、男のそれが口を塞いで奴の出した精液を吐き出すことすら適わない。
飲め。など簡単に言うが飲める訳がない。絶えるように眼を閉じて辛抱していたら後ろでも再び熱が弾け、体が震えた
耐え切れず液体を飲み込んでしまうと、再び湧き上がる嘲笑。口から男のものが出ていき、勢いよく咳き込むと休む間も無く次が口の中に捻じ込まれた
負けてはいけない。負けてはいけない。
何度そう唱え、どのくらいの時がたっただろうか
柄でもなく弱気になり、アイツの顔が脳裏に浮かぶ
(助けてくれ、なんていったらアイツ笑うかな)
そんな言葉伝えられないけれど、
浮かび上がった顔に思わず泣きそうになった
080403再録