俺は時々意識して雨を降らせないときがある
理由は様々なのだが、一番の理由はツナだ
彼が共に居るときは、どうしても雨を降らせることができない
一度、真っ赤な姿で彼の元に駆けて戻ったときはギョっとした顔をされて酷く慌てられた
どうやら、酷い傷のせいで血を洗い流すことができないと思われたらしい
心配そうに慌てるツナに「違う」と告げると安心した顔をした後、不思議そうな顔に様変わり。見ていて飽きないな、とか思った
「それじゃ・・・なんで雨を降らせないの?」
おずおずと聞いてきた彼に自分は困ったように笑うことしか出来なかった
ツナに理由を告げることが出来ないからだ
この雨はツナから授かった力だと思っている
だから、そんなツナから貰った力で自分にこびり付いた穢れを流し落とすことが酷く罪なことに思えて彼の前だけではそれが出来なかった
(きっと、ツナはそんなこと無いって否定するだろうけど)
しかし、ツナには見せられなかった
彼に貰った聖なる水が、殺意と憎悪に塗れ赤に染まっていく様なんて
(まるで自分のせいで彼が穢れていくような気がして・・・)
080403再録